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介護現場の記録を電子化|ict助成金の活用方法
更新日 2024.3.31
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ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術を意味する言葉です。ここでは介護記録を電子化することになります。
介護現場では、記録を手書きすることに時間がかかり、また、その書類の保管、処分に困るといったケースが多いと思います。
そのような悩みの中、「介護記録の電子化」は夢の解決策になりそうです!
しかし、実際に導入を考えるといろいろな不安が浮かんできます。
どうすればよいのかわからず、なかなか導入に向けての検討が進まない事業所も多いのではないでしょうか。
今回は「介護記録の電子化」によるメリット・デメリットを紹介します。検討の参考にしてください。
1: ict助成金を活用して介護現場の記録を電子化
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1-1: 厚生労働省によるict導入効果の報告
厚生労働省は、介護記録の電子化について、以下のような導入効果があったと報告しています。
- 文書作成時間の短縮 ➡ 30〜60分短縮(27.5%)
- 削減文書量 ➡ 1〜2割(25.7%)
- 介護業務の時間を増加 ➡ 30〜60分増(15.2%)
- 情報共有の円滑化を実感 ➡ 88.0%
- 根拠に基づく議論・意思決定が実現 ➡ 68.6%
参照元:ICT導入支援事業 令和3年度 導入効果報告取りまとめ|厚生労働省
この導入効果報告取りまとめの中で、私が「これは導入の際参考になる」と思った点を下記にピックアップさせていただきます。
⚫在宅系では、職員数が少ない方が導入率が高い
⚫施設系では、職員数が多い方が導入率が高い
使用例が多い機能(使用率80%以上)
⚫ 介護記録(基本情報、要介護認定情報、家族情報等含む)の作成・保管
⚫ アセスメント表の作成・保管
⚫ 居宅・施設サービス計画書の作成・保管
⚫ サービス提供記録の作成・変更・閲覧・保管
⚫ サービス提供票(実績)の作成・変更・保管
⚫ 事業所内の情報共有
⚫ 介護給付費明細書・請求書の作成・変更・印刷
⚫補助事業での導入は、タブレット53.6%に対し、スマートフォン9.1%だったということ
介護ソフトの提供形態 合計
オンプレミス型 ➡ 27.0%
クラウド型 ➡ 70.3%
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オンプレミス型・・・介護事業所のPC、サーバーなどに導入して利用する形態
クラウド型・・・業者の提供するサーバーにインターネット経由でアクセスして利用する形態
工夫したこと(自由記載)
⚫「事務所で仕事をしなければならない」という考え方を無くす努力をした
感じている導入効果
⚫文書作成の時間が短くなった 81.9%
⚫入力済みの情報を他の文書でも利用できるようになった 84.8%
⚫写真等の情報を効果的に使えるようになった 68.6%
⚫ファイリングの時間が減った 75.3%
⚫情報共有がしやすくなった 90.3%
感じている導入効果(自由記載)
⚫ 外国人技能実習生が記録可能になった
⚫ テレワークできるようになった
1-2: 介護記録を電子化するメリット
上記厚生労働省の報告でもわかるように、介護記録を電子化することで、大きなメリットが発生します。
①職員の業務負荷が軽減
②利用者様と接する時間の増加
③スムーズな情報共有
①職員の業務負荷が軽減
介護記録を電子化することで、職員の業務負担が軽減します。まだ介護記録を電子化していない事業所では、手書きで記入しているケースがほとんどです。利用者様の情報を手書きで記入していては、職員の負担が増えるだけでなく、時間がかかってしまいます。介護日誌や食事摂取表、職員間の連絡帳など、複数に別れていた書式が一つのソフトに統一されれば、別の冊子を探すわずらわしさからも解放されます。
また、紙に記録する運用をしている事業所では、介護記録を記入するためには用紙がある場所に行く必要があります。一方で電子化されていれば、パソコンやタブレットなどで場所を選ばずに記録できます。用紙を記入するために、施設内を走り回ることがなくなります。
さらに、過去の記録を見返す時にも、簡単に検索できます。過去の記録を参照するために、保管している過去の介護記録を引っ張り出している状況から解放されるため、職員の業務負荷が大幅に軽減されます。
②利用者様と接する時間の増加
介護記録の電子化で記録業務にかかる時間を削減できれば、利用者様の満足度向上につながります。記録や書類作成などの事務業務は重要ですが、事務業務に追われてしまうと利用者様をケアする時間が少なくなってしまうこともあります。
記録を記入する時間を短縮できれば、利用者様に介護を提供する時間を増やせます。結果的に、利用者様の満足度向上が期待できます。
③スムーズな情報共有
クラウド型の介護ソフトを導入すれば、パソコンやタブレットなどさまざまなデバイスから記録にアクセスでき、情報共有が円滑になるかもしれません。オンプレミス型の場合は、施設内にあるパソコンやタブレットを見ることで、他の職員が記入した介護記録を確認することができます。
紙媒体で記録していると、メールで情報共有するために記録を書き起すなどの手間がかかり、情報共有に時間がかかるケースが多いのではないでしょうか。
電子化によりデータ化されることで、職員間や利用者、家族、施設間などで、情報の共有がスムーズにおこなえるようになります。また、記入するフォーマット(形式)を統一すれば、必要な情報を誰でも簡単に記載でき、記載漏れやミスの軽減につながるでしょう。
1-3: 介護記録の電子化で起こりうるデメリット
介護記録の電子化には数々のメリットがありますが、一方でデメリットもあります。大きく以下の3つが考えられます。
①初期費用・ランニングコストなどが発生する
②職員が使いこなせるか
③セキュリティ面の不安
④記録のワンパターン化
①初期費用・ランニングコストなどが発生する
介護記録を電子化するには介護記録ソフトはもちろん、パソコン・タブレットなどが必要になります。
ICT導入支援事業を利用すれば、幾分かの費用を抑えることができます。しかし、すべての費用を補助してくれるわけではありません。
また、かかるコストは介護ソフトやパソコン・タブレットなどの導入費用だけではありません。介護ソフトの契約プランによっては、毎月の利用料など継続して費用がかかるケースがあります。パソコン・タブレットが破損したり、消耗したりした時の修理・購入費や、インターネットの利用料金もかかることを把握しておきましょう。
②職員が使いこなせるか
介護記録を電子化できたとしても、職員がうまく使いこなせない可能性があります。これまで用紙に記入していた職員は、電子化にともなって新たに入力方法を覚えなければなりません。
うまく使いこなせなければ、紙に記入していた時よりも時間がかかってしまい、一時的に業務に支障が出たり、職員がストレスを感じたりすることもあります。介護記録を電子化する際は操作方法の研修を実施したり、マニュアルを作成したりするなど、職員が新しいソフトを使いこなせるような配慮ができると良いでしょう。
③セキュリティ面の不安
電子化に伴って、情報漏洩や不正アクセスなどセキュリティ面の不安を感じる方もいるでしょう。セキュリティ面の対策をしていても、悪意のあるハッカーに情報にアクセスされてしまうリスクはあるので注意しましょう。
また、職場外で情報を見た時には、その場にいる不特定多数の方に情報を盗み見られてしまう可能性もあります。介護業界で取り扱っているデータは、利用者様の個人的なデータであるため、漏洩した時には利用者様に不利益が生じてしまいます。
介護ソフトを導入していない時は、個人情報を保存したUSBを紛失して情報漏洩につながるケースが度々問題になりました。介護ソフトの導入で、データを外部に持ちだすことによるリスクは減少すると考えられますが、また新たなリスクに注意を払う必要がありそうです。セキュリティ面の安全性を高めるためには、パスワードを厳重に管理したり、職員にセキュリティの基本的な考え方を伝えるなどの対策をとりましょう。
④記録のワンパターン化
ついつい、同じ内容の記録を書いてしまいがちです。
忙しいと、コピペ、履歴引用を行いがちです。
「排泄介助を行い、排尿と、中量の排便あった。陰部洗浄を行い、パットを交換した。」
「夜間、2時間ごとに体位変換を行った。寝息をたて休んでいた。」
「リビングにて、楽しそうにテレビを見ていた。」
など
手書きだと、各職員によって字体が違うためさほど気にならなかったことが、電子化により、コピペ、履歴引用を多用すると、記録の内容が単一化しているととられがちで、監査で指摘される可能性がある
この点については、できるだけコピペ、履歴引用を控え、日々のご利用者様の変化に注目していることを意識して、記録を残していきたいですね。
介護記録の電子化:まとめ
本記事では、介護記録の電子化について解説しました。
介護記録を電子化することで、職員の業務負担が軽減したり、利用者様に提供する介護サービスの質の向上につながったりするメリットがあります。
一方で、新たに介護記録ソフトの使用方法を学ぶ必要やセキュリティ面のリスクなどのデメリットがありますが、そういったことをクリアしていくことが今後の業務を進化、充実させていくことになると考えています。
介護記録ソフトの導入を検討する時には、メリットとデメリットを理解し、本記事で紹介したポイントや注意点を参考にしてください。
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