勤労感謝の日は何をするの?新嘗祭やGHQとの関係は?

毎年11月23日は「勤労感謝の日」です。

勤労感謝の日って、どんな日なの?何をする日なの?

と思ったことはありませんか?

多くの方が、「働く人に感謝する日」ってイメージをお持ちかと思いますが、

もう少し、詳しく理解したい方もおられると思います。

この記事では、勤労感謝の日がどのようにして出来たのか、歴史的な観点を含めて解説していきます。

私にとっては、今まで知らなかった事。「なるほど!」「そうだったのか!」という事もありました。

ぜひ、最期まで読んでいただき、勤労感謝の日って、どんな日なの?何をする日なの?

という疑問を、「クリア」にしていただきたいと思います。

(初回記事作成日 2024年10月21日)
(最終記事更新日 2024年11月17日)

1.勤労感謝の日は何をする日?

勤労感謝の日は、1948年に「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう日」として制定された日本の祝日で、毎年11月23日に祝われます。

この日は、古くから行われていた新嘗祭(後述)に由来しますが、

現代では、働くことの意義や生産の大切さに感謝し、家族や友人と過ごす日となって日本に浸透しています。

1-1.勤労感謝の日の歴史と由来

工場の職人

勤労感謝の日という名前の由来は、第二次世界大戦後の1947年(昭和22年)に遡ります。

当時の国会において「新嘗祭」に代わる名前が議論された際に、「新穀祭」「生産感謝の日」などが候補に挙がる中、「感謝の日」が有力候補となりました。

勤労感謝の日がアメリカのサンクスギビングデーに似た意図を持つように再構築されたとの説も存在するように、

「感謝の日」にサンクスギビングデーのニュアンスを付けて、「勤労感謝の日」と「労働感謝の日」の二つの案が提案され、最終的に、「勤労感謝の日」が採択されることとなった、、という説が濃厚です。

この決定は、国民の祝日に関する法律に規定されました。

1-2. 勤労感謝の日の行事

収穫の祭り

勤労感謝の日に寄せて、全国各地で様々な行事が行われます。

収穫にまつわるイベント、感謝を表現する行事が催されるようです。

代表的なものは、

大俵まつり(熊本県玉名市):11月後半、巨大な俵を使った力自慢の競技が行われます。

梵天祭(栃木県宇都宮市):11月、第3土曜日、羽黒山神社で行われる祭りで、梵天を奉納します。

があります。

また、各地域では、地元の収穫物を祝うイベント感謝の手紙を書くイベント、さらに、学校行事として、”勤労感謝集会”といったが行事行われることがあります。

私の地元でも、昭和50年代までは、JA主催の「農業まつり」が11月に開催され、焼き芋ポン菓子が販売されていた思い出があります。

特にポン菓子は、米などの穀物に圧力をかけ、一気に開放させ膨らませたお菓子で、開放するときの爆発音が「バーーン」って、すごいんですよね!昭和生まれの方、知ってますよね?

1-3.勤労感謝の日は何をするの?

秋の行楽

勤労感謝の日は、働くことの意義を再認識し、感謝の気持ちを表す日です。

この日は、特別な食事を楽しんだり、感謝の手紙を書いたりするのも良いでしょう。

また、自分自身のリフレッシュのために、趣味やリラックスする時間を持つことも大切ですね。

ここでは、秋の味覚を利用した、勤労感謝の日におすすめの料理を紹介します。

勤労感謝の日の簡単な、おすすめ料理

秋の味覚の料理

”料理する人も楽をしたい”ということで、パッと作れそうなメニューです。ぜひ参考にしてみてください。

さつまいもと豚肉の甘辛炒め:さつまいもの甘さと豚肉の旨味が絶妙にマッチする一品です。簡単に作れてご飯が進みます。

きのこと鶏肉のガーリック炒め:しめじや舞茸などの秋のきのこと鶏肉をガーリックで炒めた、香り豊かな料理です。

かぼちゃとひき肉のカレー炒め:かぼちゃの甘みとひき肉の旨味がカレー風味で楽しめる、スタミナ満点の一品です。

れんこんと牛肉のオイスターソース炒め:シャキシャキのれんこんと牛肉をオイスターソースで炒めた、食感も楽しめる料理です。

鮭とほうれん草のバターソテー:秋鮭とほうれん草をバターでソテーし、シンプルながらも栄養満点の一品です。

また、アメリカ版「勤労感謝の日」である、サンクスギビングデーに因んだ料理を楽しむのもいいかもしれませんね。

サンクスギビングデーの料理

ローストターキー(七面鳥):感謝祭の主役と言えるメインディッシュ。

パンプキンパイ:デザートの定番で、シナモンやナツメグの風味が効いています。

マッシュポテト:クリーミーでバター風味のポテト。

などですね。

2.新嘗祭とは?

まず、「新嘗祭」について解説していきます。

単純に、どんな行事なの?と思った方いらっしゃいませんか?

ここでは、「新嘗祭」の由来や、行事内容について、わかりやすく解説していきます。

2-1. 新嘗祭の歴史と由来

器に入れた米

まず、「新嘗(にいなめ)」とはどいう意味か?
疑問に思いませんか?

嘗(なめる)」という漢字は書けば14画もある難しい漢字ですが、「なめる」「あじわう」という意味があります。

「新嘗(にいなめ)」ですから、新しくあじわう。つまり、「新しくとれた穀物を(神が)あじわう」ということになります。

新嘗祭は、天皇がその年に収穫された新穀などを天神地祇(てんじんちぎ)=全ての神 に供えることで感謝の奉告をし、神からいただいたものとして天皇自身が食するというものです。

新嘗祭の起源は、飛鳥時代(592年〜710年)にまで遡ります。

当時の天皇が、五穀豊穣を祈り、収穫を神々に感謝するために始めたとされています。

この祭りは、農業社会における収穫の重要性を象徴し、農民たちにとっても大切な行事でした。

新嘗祭は、天皇が新穀を神々に供える「大嘗祭(だいじょうさい)」と密接に関連しています。

大嘗祭は、天皇が即位後初めて行う新嘗祭であり、特に重要な儀式とされています。

新嘗祭と大嘗祭は、共に日本の皇室の伝統と深く結びついており、国家の安寧と繁栄を祈る重要な行事です。

現代においても、新嘗祭は皇居で厳かに執り行われ、全国の神社でも同様の儀式が行われます。

この祭りは、古代から続く日本の伝統文化を今に伝える貴重な機会となっています。

2-2. 皇居での新嘗祭の行事内容

神社

ここでは、皇居での新嘗祭の具体的な行事内容を説明します。

まず、主な内容として4つのポイントを挙げることが出来ます。

1、神饌(しんせん)の準備

・・・新嘗祭の中心となるのは、神々に供える神饌の準備です。

神饌には、米や粟、鮮魚、干物、果物、酒などが含まれます。

これらの供え物は、神様に感謝の意を表すために捧げられ、その後、参列者が共にいただく「神人共食(しんじんきょうしょく)」という形で分かち合われます。

これらの供物は、収穫の恵みに感謝する象徴として重要な役割を果たします。

2、天皇の参拝

・・・新嘗祭当日、天皇は皇居内の神殿に参拝します。

天皇は、神々に新穀を供え、国家の安寧と繁栄を祈ります。

この儀式は、古代から続く伝統的な形式に則って行われ、厳粛な雰囲気の中で執り行われます。

3、神楽(かぐら)の奉納

新嘗祭では、神楽と呼ばれる伝統的な舞や音楽が奉納されます。

神楽は、神々を楽しませ、感謝の気持ちを表すためのもので、古代から続く重要な儀式の一部です。

神楽の奉納は、祭りの雰囲気を一層盛り上げます。

4、直会(なおらい)

儀式が終わると、直会と呼ばれる宴(俗にいう打ち上げ)が開かれます。

直会では、神饌として供えられた食物を参拝者が共にいただきます

これは、神々と人々が一体となる象徴的な行為であり、収穫の恵みを分かち合う意味があります。

<新嘗祭の流れ>

新嘗祭は、11月22日から24日まで3日間行われます。

1日目:鎮魂祭(ちんこんさい)
新嘗祭の前に行われ、神々の霊を鎮める儀式です。
重大な祭事に臨む天皇の霊を「強化」する意味もあります。

2日目:夕の儀(ゆうのぎ)
午後6時から8時まで行われ、天皇が新穀を神々にお供えします。その際、神楽の奉納があります。
その後、天皇は、神々にお供えした同じ神饌の米と粟との御飯、御酒を使った食事をお召しになられます。これを「夕御饌(ゆうみけ)の儀」といいます。

3日目:暁の儀(あかつきのぎ)
午後11時から午前1時まで行われ、天皇が再び新穀を供え、神々にお供えします。その際、神楽の奉納があります。
その後、天皇は、神々にお供えした同じ神饌の米と粟との御飯、御酒を使った食事をお召しになられます。これを「朝御饌(あさみけ)の儀」といいます。

合計2回行われる「夕御饌(ゆうみけ)の儀」と「朝御饌(あさみけ)の儀」を「御直会の儀(おんなおらいのぎ)」といいます。
これは新嘗祭の核心ともいうべき厳粛な儀式です。

2-3. 皇居以外での新嘗祭の祝われ方

地方の神社

新嘗祭(にいなめさい)は、古代から続く日本の伝統的な祭りであり、

皇居だけでなく、全国の神社でも執り行われています。

各地の神社では、地域の特色を生かした儀式や行事が行われ、地域住民が参加して収穫を祝います。

伊勢神宮(三重県):

伊勢神宮では、新嘗祭の一環として「神嘗祭」が行われます。

神嘗祭は新嘗祭の前段階として位置づけられ、天皇が新穀を神に捧げる儀式で、全国から集められた新米が奉納されます。

出雲大社(島根県):

出雲大社では、新嘗祭に合わせて「神在祭」が行われます。

全国の神々が出雲に集まるとされるのが神在祭で、その期間中に新嘗祭が行われるので、非常に重要な儀式となっています。

伏見稲荷大社(京都府):

伏見稲荷大社では、新嘗祭に合わせて「稲荷祭」が行われます。

稲荷祭は、伏見稲荷大社の最も重要な祭りの一つで、五穀豊穣を祈願する祭りです。

この祭りは、春に行われる「神幸祭」と秋に行われる「還幸祭」の二部構成で、特に秋の還幸祭は新嘗祭と時期が重なります。

稲荷祭は新嘗祭と同様に、収穫に感謝し、五穀豊穣を祈る重要な祭りであり、両者は深い関係性を持っています。

各地域コミュニティでの行事

新嘗祭は、地域コミュニティにおいても重要な行事として祝われます。

地域では、神社ごとに祭典が執り行われたり、農家や住民が集まり、収穫を祝うイベントや祭りが開催されることがあります。

特に、大分県玖珠町では、皇居で行われる新嘗祭に献上する新米を刈り取る神事「抜穂式(ぬきほしき)」が行われます。

これは、毎年、地元の小学生が参加し、新嘗祭に献上する新米を刈り取る神事で、毎年10月に行われています。

3.サンクスギビングデーと勤労感謝の日の関係性

日米の国旗

アメリカのサンクスギビングデーと日本の勤労感謝の日は、異なる文化背景と目的を持つ祝日です。

サンクスギビングデー(感謝祭)と勤労感謝の日には、直接的な歴史的関係はありませんが、いくつかの共通点があります。

サンクスギビングデーは、アメリカで毎年11月の第4木曜日に祝われる祝日で、1621年にピルグリム・ファーザーズがアメリカの先住民と共に収穫を祝ったことに由来します。

この日は、家族や友人と集まり、七面鳥などの伝統的な料理を楽しんだり、パレード、フットボールの試合を観戦して過ごす人が多いようです。

勤労感謝の日も同じく11月の祝日で、勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日とされています。

両者とも生産、収穫に感謝するという点で共通しています。

あえて言うなれば、サンクスギビングデーは家族や友人との団らんを重視し、勤労感謝の日は勤労と生産に対する感謝を強調していると言えます。

4.勤労感謝の日は、なぜGHQと関係があるのか?

マッカーサーの銅像

新嘗祭と勤労感謝の日は、なぜGHQと関係があるのか?

それは、第二次世界大戦の終戦時に遡ります。

1948年GHQの占領政策の一環として、古来の新嘗祭が「勤労感謝の日」に改められました。

GHQ(General Headquarters:連合国最高司令部)は、第二次世界大戦後にポツダム宣言を履行するため、日本で占領政策を実施した連合国の機関です。

この変更には、GHQの最高司令官であったダグラス・マッカーサーの影響が大きかったとされています。

マッカーサーは、天皇を中心とした神道行事を排除し、民主主義的な価値観を広めるために、新嘗祭を勤労感謝の日に変更することを提案しました。

新嘗祭は、「勤労感謝の日」に改められ、日本国においての位置づけが変わる事になりましたが、それ自体は廃止されず、現在も続いています。

勤労感謝の日は、勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝し合うことを目的として、”国民主体の祝日”と位置づけられました。

まとめ

この記事では、日本の新嘗祭勤労感謝の日に触れて、それぞれに、なぜGHQが関係しているのかについて解説してきました。

歴史を振り返ることで、今まで知らなかった真の意味を理解することができます。

そして、この記事が、現代を生きる私たち日本人にとって、勤労感謝の日に、何に感謝して、どのように過ごすのかを考える一助となれば幸いです。

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